APU 2020 人権論(日本語)

詳細版シラバス

受講生に対し、manaba上で共有します。

シラバス

本講義は、ハイブリッド(ハイフレックス型:対面・オンライン併用)で実施します。

授業概要
 「人権」は、私たちが生きる現代社会において、もっとも基本的な価値の一つです。人権が語られるとき、その根拠は倫理や宗教に求められたり、あるいは内容が政治的ないし社会的に決められたりします。多種多様な歴史や文化的背景を持つ国際社会の中で、一人ひとりの人権が守られ、その理想を実現するためには、普遍的な人権基準を設定し、共通言語の下で議論できなければなりません。これを可能にするが、国際法として存在する人権です。この授業では、国際人権法の歴史、内容、制度、その背景にある価値観などについて学びます。また、単に頭で人権法を理解するだけでなく、人権に根差した社会を作り上げる一員として必要な、法的に考え主張を展開するための基本的なスキルの修得を目指します。
到達目標
受講の成果として、履修生は以下の能力を身につけることを目標とします。
1. 学問的知識・理解(人権に関する知識・社会問題の理解)
・日本や世界の人権にかかわる問題状況を知った上で、利益対立や社会構造など問題の原因ないし争点を指摘できる。
・人権の理念や具体的な権利の内容、国際的な法制度の基本的内容を説明できる。
2. 能力とスキル
・人権問題を法的に分析し、異なる立場からの主張を説得的に展開できる。
・国際人権法に関する資料を検索し、読み解いた上で、効果的に用いることができる。
3. 社会関与(人権問題に対する態度・志向性)
・日本や世界の人権問題に市民として関心を向け、問題と向き合うことができる。
・他人との対話によって、異なる立場や考え方を理解し、自らの洞察を深めることができる。

3分類は、『APSラーニング・ゴール(学習成果)とラーニング・オブジェクティブ(学習目標)』に対応しています。
https://www.apu.ac.jp/home/study/content49/
授業方法
基本的に講義形式で授業を進めますが、対話も重視します。
授業には、事前にmanabaに掲載するレジュメを印刷し、通読したうえで出席してください。manabaには、予習課題も掲載します。
また、授業中のディスカッションや期末課題に向けての準備で、グループワークも取り入れます。
毎回の授業の概要
毎週の講義で、以下の3つの項目を扱っていきます。
①基本原則・鍵概念…国際人権法の枠組みを理解するための理論的な、あるいは基礎的な知識・見方
②実体的権利…具体的な人権
③実施メカニズム…人権の実現を促進するための制度的な保障やアクターの役割

【1週目】
①「国際人権法」の概要 ②人種差別 ③国際司法裁判所
【2週目】
①義務 ②絶対的な権利:拷問等、生命権 ③国際連合
【3週目】
①民主主義 ②表現の自由 ③人権条約機関
【4週目】
①救済 ②思想、良心および宗教の自由 ③地域的メカニズム
【5週目】
①フェミニズム ②女性・LGBTI+の権利 ③国内機関
【6週目】
①開発、経済的・社会的権利 ②子供・障がい者の権利 ③ビジネスと人権
【7週目】
①緊急事態 ②国際人道法・国際刑事法 ③国際刑事裁判所
予習・復習の内容と分量
予習として、授業の計画に書かれた教科書と資料集の該当箇所を読んでおくこと。なお、内容が理解できれば、文章を暗記する必要はありません。内容が理解できない場合は、疑問をメモしておき、積極的に授業中に質問してください。
成績評価方法
予習課題(20%)…授業中にクイズを出題し、予習を行った上で講義に出席することで、基本的知識を身に着けていることを確認します。
復習課題(40%)…講義内容を踏まえて短いレポートにより、法的に人権を論じる能力を身けていることを確認します。
期末レポート(40%)…到達目標に達成していることを確認します。テーマや詳細は講義中に指示します。
多文化協働学修の実践方法
多文化間の学びを促進する環境や工夫
・法的視点によって人権をとらえることで、文化を越えた共通の「言語」によって対話する手法を学びます。
・他国の状況を紹介し、異なった背景について思考を巡らせるための問いかけを行います。
学生の協働やアクティブラーニングを促進する工夫
・オンラインツールを用いて、参加者からの意見を集め、スクリーン上で共有します。
・週の前半の授業で法的主張の作り方について学ぶ際、グループワークを行います。
学生への要望事項
・講義中の写真撮影・録音は、認めません。
・Responを用いますので、インターネット環境やResponを簡単に起動できるように、準備しておいてください。
テキスト
芹田健太郎、薬師寺公夫、坂元茂樹『ブリッジブック 国際人権法』(信山社、第2版2017年)


薬師寺公夫、坂元茂樹、浅田正彦(編)『ベーシック条約集』(東信堂、2019年)
他の出版社の条約集や古本でも可。
参考文献
詳細シラバスを参照してください。
備考
・講義中の写真撮影・録音は、認めません。