民営化された水道事業から生じた国際紛争の仲裁判断

 一般に投資協定と呼ばれる条約を国家間で結ぶことで、一締約国の投資家は、他の締約国において保護を受けることができます。こうした条約には紛争解決手続(仲裁)が整備されていることが多くあります。そのため、例えば、投資家が公正で衡平な待遇を投資家が受けなかったと考える場合、投資受入国政府を相手取って、賠償請求を行うことができます。

 2019年6月21日、エストニアの首都タリンの水道事業に参入していたオランダの投資家が、二国間投資協定に基づいてエストニア政府を訴えていた紛争について、仲裁判断が出されました。この紛争で投資家は、水道料金の改訂が規制当局によって認められなかったことが違法であったとし、6750万ユーロの賠償を請求していたものです。紛争の形態を見れば、水道事業が民間委託される場合に典型的に生じうるものです。こうした紛争で、過去には、タンザニアやアルゼンチンなどが水道事業に投資する投資家によって申し立てを受け、投資協定違反の認定を受けています。

 まだ仲裁判断が公開されていませんので詳細は分かりませんが、報道によれば、仲裁廷は、投資家の請求を認めなかったようです。仲裁では、弁護費用はもちろん、仲裁にかかる費用も紛争当事者が負担します。今回の判断では、投資家が、エストニアの弁護費用の25%と、仲裁手続についてエストニアが負う費用の25%を投資家が負うとの判断が出されたようです(これだけで、合わせて6.6万ユーロ以上)。

United Utilities (Tallinn) B.V. and Aktsiaselts Tallinna Vesi Republic of Estonia, ICSID Case No. ARB/14/24

2019年06月28日|投稿のカテゴリー:時報